認可保育園の入園申し込みの際に、落選希望者が増えている、と時々話題になりますね。
その背景にはどんな事情があるのか、まとめてみました。
目次
- 認可保育園の申し込みの結果がわかる時期ですね
- 復職したい、不承諾通知がきたらどうする?
- 2歳まで育休延長したい人も一定数いる
- 育休延長を希望する理由
- 落選希望者が多いと何が問題なのか
- 補助金(育児休業給付金)が欲しくて育休延長したい?
- 保育園に落選しなくても育休延長できるようになれば良いのに
認可保育園の申し込みの結果がわかる時期ですね
2月に入ると、認可保育園の入園の可否の結果がわかるところも多いのではないでしょうか。
わたしの住む地域では、認可保育園に4月入園するには、前年の11月頃から入園申し込みをします。
そして年が明けて、2月上旬頃に入園出来るかどうかの結果が来ます。
入園可能な場合は市役所から電話がかかってきますが、入園出来なかった場合は自宅に手紙が届きます。いわゆる、「不承諾通知」というものです。
復職したい、不承諾通知がきたらどうする?
育休明けに復職したい方にとっては、保育園に入園出来ないと困りますよね。
不承諾通知が届く前からでも、保育園に落ちた時に備えてやっておきたいことがあります。
↓下記の記事が参考になれば幸いです。
もちろん、不承諾通知が届いてしまっても、上記の記事のように認可外保育園をあたったり、ベビーシッターを検討しても良いと思います。
また、2次選考の結果にも少し希望を持っても良いかもしれません。
それは、1次選考で内定を辞退する家庭も、わりと多くいるからです。
※わたしの住む地域では、認可保育園の申し込みは1次選考、2次選考があります。1次に落ちた場合でも、内定辞退者などがでれば2次で入園出来る可能性もあります。2次の選考結果が出るのは3月頃です。
2歳まで育休延長したい人も一定数いる
認可保育園の入園申し込みをする人の中には、以下のような方がいます。
- 保育園に子を入園させて復職・再就職したい人
- 保育園にあえて落ちて育休を延長したい人
入園申し込みをしているのに、あえて落ちたいというのはどういうことかと疑問に思う方もいるかもしれません。
育休の取得は、国の制度では原則1年です。しかし、保育園に入れず子どもの預け先がない場合などは、最長2年まで育休が延長出来ます。
そして、育休中は「育児休業給付金」として、雇用保険から給与の50〜67%が支給されます。
育休を延長するには、「保育園に入れなかった証明」が必要となり、それが不承諾通知というわけです。
あえて保育園を落選希望する目的は、育休延長のために不承諾通知が欲しいから、ということになります。
育休延長を希望する理由
育休を延長したい、と思う方の中には、
- 0歳、1歳のうちは子どもの成長を側で見守りたい
- 復職を早めず、余裕を持って育児に取り組みたい
- 復職後ワンオペ育児となり、早期の復職は母親の負担が大きい
など様々な事情があると思います。
待機児童の多い地域では、1歳児クラスの入園希望者が多く、1歳よりは入園しやすい0歳児クラスから預けようと保育園を申し込む家庭も多いでしょう。
でもそうなると、せっかく1年近くとれる育休を早々に切り上げることになります。
育休明けに復職はしたいけれど、0歳から保育園に預けることに抵抗がある、せめて1歳までは子どものそばにいたい、という葛藤はあって当然だと思います。
育休延長は、保育園に入園出来なかった場合に仕事を退職する人を減らす目的で改正された制度です。
しかし、最近では、上記のように育休を延長したいがために保育園をあえて落選するように申し込み、不承諾通知を欲しがるという傾向もあるようです。
実際に自治体の保育園申し込みの窓口では、「倍率が高く入園しにくい保育園はどこか」「内定を辞退したいが不承諾通知が欲しい」といった問い合わせもあるようです。
倍率が高い保育園だけに申し込んで、落選しやすくしたり、内定がでても落選希望のため辞退する、ということが起きているんですね。
落選希望者が多いと何が問題なのか
落選希望者が多くなると、問題となるのは以下の点だと思います。
内定辞退者がでると、本当にその保育園に入りたい人が入れなくなる可能性がある
落選希望者に内定が出ると、本当にその園に入園したかった家庭が落選したかもしれません。
もし内定辞退した場合、その空いた枠にどの家庭が入れるかは、2次審査の結果でわかるところが多いのではないでしょうか。(自治体によると思いますが)
わたしの住む地域でいうと、2次審査の結果が出るのは3月です。
その頃には本来なら内定辞退者の次に優先度の高かった家庭は、すでに第2、第3候補の保育園に入園を決めたり、認可外保育園に入園手続きした後かもしれません。
そういった内定辞退者が何百人も出る自治体も実際にあるそうです。
(2018年度の東京都世田谷区の保育園入園審査では、内定辞退者は約500人いたそうです)
第1希望の保育園に入園したかった家庭にとっては、迷惑に違いありません😰
↓ちなみに内定辞退にはこんなリスクもあります。
自治体の保育課などの事務作業に手間がかかる
落選希望者が落選するのであれば、迷惑がかからないのでは、と思う方もいるかもしれません。
しかし、本来入園希望でないにもかかわらず入園申込をすることで、自治体では利用調整業務に時間を割かれる、という問題点もあります。
厚生労働省はこうした事態に対応するため、保育園の申込書に落選希望の意思表示をする項目を設ける改革案を出しました。
「直ちに復職したい人」は通常通りの利用調整にかけられますが、申し込み書類の「落選したら育休延長可」というチェックをした人は、利用調整の優先度が下がるしくみのようです。
つまり、落選希望者がその欄にチェックをすると、保育園に入園しにくくなる、ということです。
これは2022年度をめどに、厚生労働省から各自治体に通達を出す見込みとのこと。
補助金(育児休業給付金)が欲しくて育休延長したい?
2018年11月頃、たまたま見ていた某テレビ番組で、「保育園落選希望者が続出」という話題が取り上げられていました。
今に始まった話題ではないものの、世間からは批判的な意見も見られますね。
その番組では補助金(育児休業給付金)をもらって育休延長したいから、保育園の不承諾通知が欲しい、という方が取り上げられていました。
番組放送後のネット上では「補助金もらいたいから育休延長するなんて!」「保育園にわざと落ちたいなんておかしい!」みたいな批判を多く見かけました。
育児休業給付金は雇用保険が財源となっています。
雇用保険を払ってる人からしたら、財源の一部を負担してるわけだし、赤裸々に「補助金欲しいから育休延長したい」と本音を言ってしまえば当然叩かれてしまうでしょうね。
「仕事はまだしたくないけど失業保険はギリギリまで欲しい」と同意な感じがします😅
保育園に落選しなくても育休延長できるようになれば良いのに
育休延長が出来るのであれば、希望者はしたいと思うはず。
でもそれには不承諾通知がいる、となればそれをもらう方法を考えるのは普通の思考かな、と思います。
早く復帰してそれなりのお給料を得たい人もいれば、制度を使えるギリギリまで、給付金をもらいつつ子供のそばにいたいと思う人もいて当然です。
「補助金欲しい発言の人」を擁護するわけではないですが、給付金(補助金)だって、雇用保険を払っているのだから堂々と貰う権利はあるはずです。
その人がおかしい、というより、色々な人が提唱しているように、育休延長希望者が不承諾通知がなくても育休延長の制度を使えるようになれば良い話だと、わたしも思います。
育休延長するには、不承諾通知を貰わないといけない、という制度だからこそ落選希望でも保育園に申し込まなければならない手間がかかる。
認可保育園に申し込むのだって、会社から書類を取り寄せたり、たくさんの必要書類を用意したり、簡単ではないのです。
申し込む側だって、本来なら自治体や本当に保育園に入りたい人に迷惑かけてまでそんなことはしたくないはずです。
保育園落選希望者続出、なんていうと落選希望者が悪のように印象づけられてしまいますよね。
でも本当なら、不承諾通知がなくても、本人の希望によって育休を切り上げるのか延長するのかを決められるともっと楽なのにな、と思います。