「3歳の壁」という問題をご存知でしょうか?お子さんを保育園に通わせている家庭で、起きるかもしれない「3歳の壁」問題についてまとめました。
目次
- 「3歳の壁」とは
- 小規模保育とは
- 認可保育園や認証保育所にも定員が2歳までのところがある
- 3歳以降は認可保育園へ転園か、幼稚園入園か
- 認可外や認証保育所では、3歳以降は園児の数が少ない
- 「3歳の壁」で起こる問題点
- まとめ
「3歳の壁」とは
「3歳の壁」とは、2歳児までを預かる小規模な保育園などに子どもを通わせている家庭が、3歳からの子どもの預け先に頭を悩ませている、という問題です。
小規模保育とは
0〜3歳未満までの子どもを預かる小規模な保育園で、市区町村による利用認定が必要な小規模認可保育所という施設もあり、こちらは定員が6〜19人ほどです。
小規模保育のなかには、3歳以降に継続して通える保育園を斡旋してくれるところもあります。
認可保育園や認証保育所にも定員が2歳までのところがある
認可保育園、認証保育所にも在園児の年齢制限のある保育園があります。
0〜3歳未満までの受け入れしかない保育所は、原則2歳児クラスまでしか在園できません。そのため、3歳児からは再度保活をして転園先を確保する必要があります。
2歳までの認可保育園に通う在園児について、小規模認可保育所のように、3歳児から他の認可保育所へ優先的に入園出来る制度を設けている場合もあります。(自治体の制度によります)
3歳以降は認可保育園へ転園か、幼稚園入園か
2歳児までの保育園に子どもを通わせている場合、3歳児からは他の保育園に転園するか、転園出来なければ幼稚園に入園するか、選択を迫られることになります。
駅の高架下や、ビルのワンフロアの認可保育園に通わせている家庭も、小学校入学までこの環境で良いのか迷う家庭もあるでしょう。子どもが3歳頃になると活動量も増えますし、園庭が広い、カリキュラムも充実した保育園や幼稚園がとても魅力的に感じるかもしれません。
子どもが3歳という年齢は、保育園に通わせている保護者がその後の預け先を考え直すタイミングでもあります。
認可外や認証保育所では、3歳以降は園児の数が少ない
認可外保育園や認証保育所でも卒園まで通える保育園はあるのですが、年中・年長クラスになると同年齢の園児は極端に少ないか、全くいないかもしれません。
認可外保育園や認証保育所では、3歳児より上のクラスはほぼ人数が集まりません。施設の規模も狭いところ、園庭がないところもあり、3歳頃から認可保育園に転園するか、認可保育園に入れず幼稚園に入園するかといったことで、認可外・認証に残る園児は少なくなってしまうのです。
卒園までその保育園を利用できたとしても、園庭がない、施設がせまい、同年齢の園児がいない、からの小学校入学となり、いきなり大人数での集団行動となるので保護者も不安ですよね。
「3歳の壁」によって3歳児クラスの認可保育園の需要が高くなり、3歳で認可への転園ができないため、
「3歳児クラスまで認可外・認証保育所に在籍して、4歳児クラスの認可保育園入園を目指す」
というパターンもあります。
または募集は極めて少ないでしょうが、
「4歳の年中から幼稚園に通わせる」
という選択をする方もいるでしょう。この場合、すでに年少から出来上がっている幼稚園のお友達やママ友グループに馴染めるのか、子どもだけでなく保護者にとっても、小さいようで大きな問題です。
「3歳の壁」で起こる問題点
- 3歳で認可保育園に転園できるか、という問題
認可保育園でも3歳児クラスは持ち上がりが多く、募集人数はそれほど多くないのが現状でしょう。
それでも3歳児クラス以上は、0〜2歳児クラスよりは認可保育園への入園倍率が低くなります。
2歳で認可保育園へ入園・転園出来なかった場合も、3歳児クラスでは認可へ入れたいという家庭が多いと思います。待機児童対策で小規模保育を増やした背景もあり、3歳からの預け先を探す家庭も多いのです。
こういった理由から3歳児クラスの保育園の需要が高まり、再度保活に取り組む家庭が増えます。環境の良い、人気の認可保育園は当然募集も集中しますから、3歳でも希望通りの認可保育園に入園出来るとは限りません。
- 2歳の秋に幼稚園の入園申し込みをして入れるのか、という問題
3歳児クラスでの認可保育園への転園が難しい場合、幼稚園を検討する家庭もあると思います。
幼稚園でも、地域や園によっては年少の入園申し込みをしていないところもあります。
最近では2歳からプレ幼稚園に通う子どもがほとんどです。
プレ幼稚園は、幼稚園にもよりますが、2歳の年齢の子どもが保護者同伴で週に1〜2日、または月に1回ほど幼稚園に通い、幼稚園での遊びを通して幼稚園生活の練習をするような場です。
プレ幼稚園に通うメリットは、年少クラスでの入園選考で、入園しやすくなることでしょう。幼稚園側も、プレ幼稚園で通っている、幼稚園に少しでも慣れた園児を取りたいのかもしれません。
プレ幼稚園は、子どもを幼稚園に入れたい家庭からはとても人気なので、年少入園時はプレ幼稚園からの持ち上がりの子どもがほとんど、という場合もあります。そのため、3歳の年少クラスでは新規に園児の募集をしていない幼稚園もあるのです。
もし、2歳まで保育園に通っていた場合は、当然プレ幼稚園には参加していませんよね。3歳で認可保育園に入れそうもなく幼稚園を検討しても、人気の幼稚園は年少の募集をしていない、ということが起きるかもしれないのです。
幼稚園の入園申し込みが始まるのは2歳児クラスの秋頃ですから、幼稚園を検討し始めた頃に、募集がないなんて聞くとびっくりしますよね。
もちろん、その地域で通える幼稚園が、どこもこのように年少の入園を募集していないわけではありません。しかし、ある程度人気の幼稚園では珍しくないことのようです。
- 幼稚園の預かり保育を利用して今まで通り働けるのか、という問題
入園できそうな幼稚園を確保したとして、幼稚園では今まで保育園に預けていた時のように働けるでしょうか?
幼稚園児のママも、パート勤務などでお仕事をしている方もいますが、多くは専業主婦家庭です。平日の幼稚園行事も多く、保護者が役員をやる機会も多くなります。加えて、幼稚園には夏休みや冬休みなどの長期休みがあります。
保育園に預けていた時は、フルタイム勤務できていたママも、幼稚園ではよほど家族の協力がない限り、在宅勤務以外の正社員などのお仕事は難しいかもしれません。
実際に幼稚園に通わせながら、フルタイムで仕事をするとなると、幼稚園の預かり保育を利用することになると思います。
預かり保育も人数制限があったり、預かってくれる時間帯が17時まで、など保育園よりも短いところが多いです。加えて平日の行事が多いとなると、それまでの勤務形態のスタイルを維持できるか、という問題が出てきます。
また、預かり保育では幼稚園によっては、保育園のように先生が遊んでくれたり学びを促したりということもあまりなく、見守りが中心のところもあるようです。保育園のようにお昼寝があるわけでもなく、子どもがどう過ごすのか、親にとっても毎日の預かり保育は心配な面もあるでしょう。
費用の面でも、預かり保育は通常の保育料の他に、一日平均500〜700円程の料金がかかります。早朝保育の方が割高です。月極めの料金を設けているところもあるようですが、毎日預けるとなると、預かり保育の料金も安くはないですよね。
⬇︎幼保無償化になると、幼稚園の預かり保育についても補助金がでるようです。
年齢を重ねると子ども自身が、仲の良いお友達が通常の降園時間で帰ってしまう、預かり保育がつまらない、などの理由から嫌がるということもあるようです。
また、平日の降園時間後、預かり保育をしている幼稚園でも、幼稚園や職員の都合で預かり保育自体がよく休みになる幼稚園もあります。そうなると、平日毎日フルタイムでのお仕事の場合は、都合をつけるのが難しいと思います。
幼稚園に通わせる、という家庭は専業主婦家庭や短時間パート勤務の家庭を想定した、時間に融通の効く方向けだというのはほぼ間違いないでしょう。
なかには、共働きの家庭にも優しい幼稚園もあるようです。
通常の幼稚園の時間のあとに、希望する園児には英語、体操、サッカーなどの課外活動が用意されているところも多いと思います。そういったカリキュラムが用意されている場合は、子どもも楽しめそうですし、学びも多くて親も嬉しい環境ですね。
また、預かり保育の時間が最長で18時半まで、土曜日も預かれる、預かり保育の時間内に英語や体操などのカリキュラムが入っている、といった幼稚園もあります。そういった幼稚園や幼保一体型のこども園なら勤務スタイルを変えずに働くことが出来るかもしれません。
まとめ
それまで小規模保育などの保育園を利用していた家庭が、3歳から再度認可保育園への保活に取り組んだり、幼稚園を検討するようになります。
このように、3歳からの子どもの預け先の確保に苦労することを「3歳の壁」と言いますが、認可保育園に転園出来ず、幼稚園に入園した場合は、働き方を見直す必要に迫られるでしょう。
場合によっては「小1の壁」にぶつかるより早く、「3歳の壁」の問題によって、勤務形態を変えなくてはいけないタイミングがやってくるかもしれません。